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木材品質基準策定委員会活動報告

2005年2月1日 鈴木 有(委員会・座長)記

□「住宅建設用木材品質基準」の基本理念
  1. 日本の木造住宅が多彩な木材を使い、多様な工・構法で造られてきた歴史と伝統を重視して、「木造の多様性」を前提にして策定する。  
  2. 既存の設備を活用した地域個別の木材利用の方向、即ち地域内での顔の見える連携システムの再構築という視点に立脚して、地方分権的な基準の策定を志向する。
  3. 現代の技術社会が指向する工業材料としての画一的基準、無垢材の物理的・化学的処理や低質材の排除につながる現行の法的基準に対するアンチテーゼ(対案)を提示する。
  4. 物理的な数値による性能表示だけでなく、地域の実情に即した、数値表示だけに頼らない手法や仕組みも模索する。
  5. 自然素材という特性から生まれる多様な品質の木材を、建物構造や構法の原理原則に則って、適材を適所に活用し国産材を無駄なく使える方策を提示する。
■「住宅建設用木材品質基準」の基本的枠組み
  1. 「共通基準」と「地域基準」によって構成する。
  2. 「共通基準」は 木材品質の考え方/評価の尺度と方法/地域基準の作り方 を提示する。
      → 地域基準の枠組みを作成する。
  3. 「地域基準」は 地域材有効利用のための質的・量的規範(具体的な性能)を提示する。
      → 地方分権的発想で、地域(流域や産地)を基本単位に取り組み、その個性を重視する。
  4. 物理的な数値による性能表示だけでなく、地域の実情に即した、数値表示だけに頼らない手法や仕組みも重視する。
■これまでの経過概要
  • 委員構成: 理事等8名+一般6名+オブザーバー2名
  • 準備会: 2回開催[①2001.08/20、②2001.11/05]
  • 4回開催[①2002.01/21、②2002.03/15、③2002.05/13、④2002.07/22]
  • 地方聞き取り調査: 6回実施
    1. 2002.07/22、  関東地方、東京で、棟梁2人と製材・素材供給者から。
    2. 2002.11/02-03、四国地方、香川県さぬき市・高松市・善通寺市等で、数人の棟梁と建築士から、高松市の「NPO法人木と家の会」が協力。
    3. 2003.02/09-10、東海地方、静岡県浜松市・掛川市・静岡市で、数人の棟梁と建築士から、浜松市の「森と住まいの会」が協力。
    4. 2003.05/15-16、北陸地方、福井県福井市・武生市で、棟梁2人と数人の建築士から、福井市の「ふくい・木と建築の会」と武生市の「武生ルネサンスの会」が協力。
    5. 2003.08/09-10、近畿地方、京都府京都市・京田辺市で、数人の棟梁と建築士から、京都市の「関西木造住文化研究会」と「京都建築専門学校」が協力。
    6. 2004.05/30、  近畿地方、滋賀県志賀町で、棟梁1人と建築士2人から。
    7. 2005.12/03-05、近畿地方、京都府京都市・宇治市で、棟梁3人と数人の建築士、工務店経営者、製材・素材供給者から、京都市の「京都・森と住まい百年の会」が協力。

■情報発信
  • マスコミ等: 日本住宅新聞・林政ニュース・日刊木材新聞等で委員会発足の紹介
  • NPOホームページ: 「木材品質基準策定委員会」のトピックス設定と活動紹介
  • 季刊誌『住む。』: 地方聞取「棟梁聞き書き」の連載、第3号(2002年秋号)〜第7号(2003年秋号)
■運営資金[トステム建材産業振興財団の研究助成に採択]
  • 研究テーマ: 「伝統技術に学び現代技術に依拠した住宅建設用構法別木材品質基準の策定」
  • 研究期間: 2004年1月〜2005年12月、2005年3月に中間報告
  • 助成額: 90万円
■現況
  • 調査の継続: 地方聞き取り調査を続けて実施している。
  • 調査結果の整理: 完了した各調査記録書を作成し、調査結果の体系化を試みている。
■これまでの成果
  1. 基準策定に至る諸課題を抽出した。
  2. 基準全体の枠組みを設定した。
  3. 各地の特色ある木造架構法と加工法を集約した。
  4. 大工棟梁による木材識別と使い分けの規範を集約した。
  5. 地域木材を活用する各地の家づくりの仕組みを集約した。
■今年度の予定
  • 調査の継続: 地方聞き取り調査をもうしばらく続ける。特に、東北・信越・中国・九州地方で。
  • 調査結果の整理: 年度内に調査結果の整理を終える。
  • 基準枠組み原案の作成: 座長を中心に、「共通基準」枠組みの原案をまとめる。
  • 委員の再募集と委員会の再開: 委員会を再構成して再開し、基準枠組み案を検討する。
  • 情報発信: 進行状況と原案をホームページ等を通して発信し、意見の集約も図る。
  • 基準素案の策定: 以上の成果を集約して、「共通基準」の素案を策定し、
                「地域基準」事例策定への準備段階に入る。
   
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