公開イベント
 

全国6ヶ所キャラバンツアー 講演会「知恵と工夫の設計—伝統建築に学ぶ」
高知会場

キャラバン講演会も4カ所目となりました。12月としては、異例の寒い日となった四国の高知県高知市の会場でしたが、近県を含め、121名の方が、竹林寺客殿の広間に集まっていただきました。

立派な桧の題目

美しい庭を大きなガラス越しに見ながら、伝統構法で建てられた建物の中に座り込んでの講演会でした。

講演会が始まるまでの間に、麓先生による客殿の部屋の様式についての話など、ほかの会場には無いプロローグを経て、講演は始まりました。

司会は、構法歴史部会の渡邊隆委員が務めました。

最初に、この委員会の事業責任者である大江忍より、この委員会の経緯の説明をいたしました。

講演の最初は、設計法部会の齋藤幸雄主査より、新しい設計法の概要について説明があり主に標準設計法(案)についての解説がされました。

休憩をはさんで、構法歴史部会の麓和善主査より、全国22カ所の伝統構法の建物の調査事例の概要について説明がありました。

引き続き、具体的な仕口継手の部位についての知恵と工夫についての説明を構法歴史部会の望月昭委員が行い、主に調査の際に床下にもぐって調査されたエピソードも含めて、解説がされました。

同様に、構法歴史部会の松井郁夫委員からも、構造的な木組みの特徴や先人の知恵についての解説がありました。そのあと、構法歴史部会で提案された伝統的構法の定義について、麓主査より、資料を使っての解説がありました。

引き続き、質問の時間となり、会場で出た質問として、「床面に構造用合板を用いてよいのか?」に対して、齋藤主査より「今回の設計法は、変形性能を評価しているので、合板のような剛性の高いものは、想定していない。屋根面も同様だが、合板を使用すると小屋組みを壊してしまうが、野地板であれば、小屋組みを壊さず、変形性能を有する実験結果がでた」という回答がありました。

次の質問として「新設計法は、いつ告示されるのか?」という質疑に対して「国交省が検討することであるので、時期については、答えられないが、できるだけ早くということを要望している」という齋藤主査の回答でした。

また「住宅性能評価については、伝統的構法は、どのような対応をしているのか?あるいは、どうするつもりなのか?特に構造耐力について、壁量で示されているが、変形性能で対応するということについては、どういう検討がされているのか?」の質疑については、「現時点では、打ち合わせしていないので、回答することができないので、今後の課題として、検討していくように伝える」と大江が回答をしました。

最後の質疑として「自然石、丸石などにも対応できる設計法となるか?」については、「現在のところは、あんまりあいまいな状態での回答はできない」という齋藤主査の回答に、「500年に一度の地震なので、石のまわりにハンダのような面があればよいような意匠的な面でも検討してほしい。動かないほうが危ないのではないか?中央への意見を述べてくれ」というような要望がでました。

アンケートを集めて、熱い拍手の中、講演会は、終了いたしました。(文責 大江忍)