・唯一度ほんの僅かの日数しか御地に滞在せず、事情を充分把握しないままに、このような提案をするのは、僭越とは思いますが、これからの対処について、敢えて若干のコメントを記させていただくことに致します。
●今後の住まいの復旧復興について
総括的に相談出来る窓口の設置と人材の確保
- 住宅の復旧と復興に関わる住民の要請は多様で多彩です。他方で、経済的な面を含めると、行政側の支援の仕組みも複雑で、多くの担当部課にまたがります。
- 住まいの復旧復興については、被災者があちこち走り回らなくても済む総括的な単一の相談窓口が、行政機構の対処の工夫によって設けられるよう期待します。
- 阪神・淡路大震災や鳥取県西部地震の経験からも、地域の本格復興に向けて、住まいの回復が最も根幹になる施策であったからです。
- ところで、今回の住宅被災の特徴から見ると、応急対処や修復の技術的な方法に関わる要点として、特に、以下の内容を相談出来る機能を持った窓口と対処能力を持った人材の確保が求められると考えます。
(1)敷地地盤の危険性の判断とその補強方法を含めて
(2)被災家屋が今冬の積雪に耐えるための補強方法について
- 行政だけでの対応は困難でしょうから、地元を良く知る建築組合や土木系コンサルタントとパートナーシップを組んで、支援の体制を作られるのが望ましいと考えます。
- また、私たちのグループを含めて、市外や県外からの応援も上手く受け入れて活用される体制をお取りになり、地元の人材との協同行動で活動出来る仕組みを工夫されたら如何でしょうか。
●被災家屋の補強や修復についてのマニュアルの準備
- 上記の経験を積んでいく過程で、応急対処や住み続けるための補強や修復の技術的な方法が見えてくると考えられます。
- それらをなるべく早くまとめて、「栃尾方式の技術マニュアル」を作られてはどうでしょうか。
- そのマニュアルを建築組合の組合員さんをはじめ、地元の関係者に渡るようにすれば、蓄積されていくノウハウが活用され、適正な補強や修復の方式が普及していくと期待されます。
- このようなマニュアル作りなら、外部からの支援者も参画してお手伝いしやすいと考えるのです。
●来春からの本格復興への備え
- 住まいの本格復興は来春の雪解け後から始まることになるでしょう。
- この間に、被災家屋やその敷地の状況も、積雪や雪解けの影響を受けて変わっているかも知れません。
- 雪が無くなれば、修復工事が集中して、地元の手だけでは不足するような状況が生じるかも知れません。
- それまで暫くは時間があります。そこでこの期間に、上記したような体制作りを進められ、我々のようなグループも可能なところに活用して下さる仕組みと受け入れをお考えいただきたい、と望んでおります。
以上